Challenge 2023
2023年 マン島TTレースに参戦して
いつもマン島TTレースチャレンジにご協賛いただき、誠にありがとうございます。
皆様のおかげで、無事に完走することが出来ました。
今年は116年続く歴史の中でも数回しかない全日程快晴で、赤旗中断もなく全周回数を走れました。
スーパーツインクラスでは、ブロンズトロフィーを獲得することができました。
皆様の応援の後押しと、神様からのご褒美だと思っています。7年目にして初めて手にしたブロンズトロフィーは嬉しかったです。
3月の大怪我で、まともに練習走行や体作りが出来なかったとはいえ、自分の人生をかけたTTレース、簡単には諦めたくない。
もし、もう一度走れるのならば、悔いを残さないように出来ることを全力で頑張ろうと思い、帰国後すぐにトレーニングを開始しました。
まだ右足を引きずって歩く状態でしたが、体力回復、持久力トレーニングを毎日続けて来ました。
チームからは、2023年マン島TTレースに出場出来ないかもしれないと言われましたが、可能性を信じてトレーニングし続けました。
その時に目標を決めました。
「ベストタイムから30秒縮める」
もはや、気がつけば7回目のマン島レース。1周60kmのコースでそれ位は出来ないとレーサーとして不甲斐ない。それ位のタイムを出せないと翌年のTTレースにも招待されない。
ですが、何の根拠もない数字。目標は掲げたものの、実現できるか不安を抱えつつなんとか出場OKとの連絡を受け、マン島に向かいました。
「今出来る事を全力で、一生懸命真面目に頑張る」
いよいよ2023年TTレースの初日。
スーパーツインクラスの練習走行がスタート。1週間前の早朝3時から、レンタカーでひたすらコースを走ったし、どの様に走るかの組み立てもしました。
午前の練習走行で良いイメージだったので、午後の予選でタイムアップする為のトライをしました。しかし、そのトライの1歩が大き過ぎたようで、オーバースピードで進入してしまいスリップダウン。
十分注意していたにもかかわらず走行1日目にして転倒。自分の無能さに情けなくなり、落ち込みました。
気を取り直して、スーパースポーツクラスの走行に挑みましたが、2022年に走った時の恐怖を思い出し、思うようにアクセルを開けられませんでした。
自分の現状と底を思い知り、自分に似合わない期待をする事をやめました。
所詮は一流レーサーになれなかった凡人レーサー。自分が出来る事は、"今出来る事を真面目に一生懸命頑張る"ことだけ。
少しずつ、半歩ずつかもしれないけど、自分に出来る事を全力で頑張ろうと決めました。
そして最終日。
スーパーツイン レース2で自分にとって1番の走りが出来ました。
自分のベストタイムが、レプリカトロフィー(トップタイムの110%以内のタイムで授与されるトロフィー)という結果で非常に嬉しい結果でした。
その場にいたチームメンバーや応援してくれた方々が喜んでくれました。
今出来る事を全力で頑張っただけだと思っていましたが、表彰式で名前が呼ばれた時、今までの苦労や悔しい思いをした気持ちが解放され、壇上でガッツポーズが自然と出ました。
後から、チーム監督のイアンさんやチームスポンサーさん、現地で応援してくれた皆さんが壇上で大喜びしている山中を見て、涙を浮かべていたと聞きました。
それを聞いて、思わず監督のイアンさんに抱き着いてしまいました。
私にとって一番嬉しかった瞬間でした。
2024年マン島TTレースの出場について、チーム監督に尋ねたところ、
来年は、大丈夫。チームも私の継続参戦を受け入れる。と言っていただきました。私の気持ちは、もう来年のマン島TTレースに向けてスタートしています。
私の「今出来ることを全力で頑張る」というオートバイ道がどこまで受け入れられるかは分かりませんが、引き続きご支援いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2023年7月
マン島ライダー 山中正之