Challenge 2022
2022年 マン島TTレースに参戦して
Challenge 2017
いつもマン島TTレースチャレンジにご協賛いただき、誠にありがとうございます。
2022年はマン島TTレースは、出発2ヶ月前に右足脛を骨折。杖をついた状態での出発となり、皆様には多大なるご心配をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。
コロナ禍による中断が続き、3年ぶりの開催となりました。私にとってはこの3年の隔たりは想像以上に大きいものでした。
マン島入りしてすぐにレンタカーでコースを下見しました。マン島の生活道路がレーシングコースにもなっているので当然なのですが、コースの見え方が変わっていました。コース脇にスーパーマーケットができていたり、200km/h以上で侵入するコーナーの目印が木で覆われていて、侵入ポイントがわからなくなっていたり、林が伐採されてコース幅を広く感じ、侵入のライン取りがわからなくなったりと、様々な変化がありました。
中でも、一番大きく変わったと感じたのは、コースを走った時の雰囲気と走行感覚です。これまで毎年積み上げてきた経験値をあたかもリセットされたような感覚になりました。
今回のTTレースは、怪我を押しての出場でした。コースの変化に加え、体力面も不安でした。今年出場しなければ来年以降の出場はないので、欠場するとう選択肢はなく、少ない可能性でも全力を尽くし、次に繋げようと考えました。テーピングと痛み止めで、なんとか走行は出来ましたが、筋力の失われた右足には力が入らず、結果、不本意なライディングとなってしまいました。
スタートゲート前に並んだ時、突然今まで感じたことの無いような強い恐怖心を感じました。こんなことは初めてでした。いつもコース攻略に集中しているので、恐怖心もコントロールできていましたが、今回はマシンコントロールもままならず、精神面とのバランスが崩れたのだと思います。
スタート直前、「来年はここに立てるかわからない。今、出来ることだけに全力を尽くす」と、レースに全集中しました。なんとか最後まで無事完走できました。これも一重に変わらず応援し続けて下さった皆様のご支援のおかげ、皆様に支えられて、レースが出来るんだと、つくづく感じました。本当にありがとうございます。
先月、ロードレース専門誌「ライディングスポーツ」の取材を受けましたのですが、編集長から「山中さんは求道者なですね、道のひと。そういうライダーはすごく稀だよ」と言われたことを思い出しました。
道と思うと、日本には「道」と付くものが多いですよね。剣道、柔道、合気道、茶道、書道…そして道にはおおよそ「型」というものがあって、技を習得するために型通りに習練していく。自分の考えや身体の動きを型にはめることによって、意識を自分の内面に持っていくことだと理解しています。いわゆる「心技体」を極めていく。
今回は、自分の「心技体」が崩れていました。
オートバイレースに置ける「型」が何なのかはまだ明確な解答は持っていませんが、習練し続け2023年も継続してTTレースに挑戦いたします。そこで得た成果を皆様にお伝えし、共有させていただくことが使命だと思っています。そのために、より高度なバランスで心技体を作って臨んでまいります。
自分のこの「オートバイ道」がどこまで多くの人に共感を得られるかはわかりませんが、私には自分の信じる道を進むしかありません。
最後になりますが、どうか引き続き皆様におかれましては今後ともご支援いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。